パンダ×テロリスト=x

「パンダ?」
「ボクの故郷で有名な動物なんだけど……絶滅危惧種で、保護されてるんだ」
「いやそれは知ってるよ。……なんでここにその絶滅危惧種のパンダ様がいるんだよ」
 指差しながら、虎徹は首を傾げる。白黒のその生き物は、それに合わせて首を傾げた。
「いや、真似すんなよ、お前は折紙か……とりあえず楓に写真送っておくか……」
 と、そこにバーナビーが来る。
「おじさん、まだ準備終わってないんですか……なんだこれ……」
「ボクの故郷で有名な動物、パンダだよ!」
「いや分かりますけど、それは分かりますけど……なんでこんなところに?」
 そこまで話したところで、アニエスからのコールが入った。
「ああ、三人揃ってるわね。丁度よかった、今日はこのパンダを動物園まで護送するんだけれど、その警護をあなたたちに依頼したいの。ドラゴンキッドはほら、故郷の動物だし。二人は……まあ、ほら」
「はっきり言えよ……はぁ……こんなのもヒーローの仕事なのか?」
「ええ。今回このパンダを狙ったテロリストがいるそうなの。ドラゴンキッドとパンダを二人──というか、一人と一匹──殺してしまえば、国同士の仲は悪くなる。その中にはネクストもいるそうよ。あとは分かるわね?」
「それはまた、厄介なことで……」
 ため息を吐く虎徹に、アニエスは笑って、
「この様子は中継するから、しっかりよろしくね。じゃ、そういうことで」
「了解」
 コールが切れてから、パオリンが口を開く。
「ボクも標的、ってことだね」
「……ああ」
 辛そうな顔をした少女の頭をくしゃり、と撫で、虎徹は言う。
「大丈夫だ、俺らが守ってやるからな」
 少女はそっと頷いた。


「ところで、こいつは何してるんだ?」
「可愛い!そして可愛い!」
 言いながら、キースはパンダに抱きついている。動物に好かれる彼にとって、パンダは危険な動物ではないのだろう。
「あっ危なっ!! スカイハイ、後ろ後ろ!!」
 ……たぶん。


 そんな訳で、護送する日がやってきた。といっても翌日である。
「あれ、スカイハイも……?」
 絆創膏やガーゼにまみれた彼が笑う。すぐ、痛そうに顔をしかめるが。
「ああ、私も彼が好きだからね!! この傷は友情の証さ!!」
「……いや、なんか殺意感じるよ? ボクの後ろから」
 パオリンが指を指すが、キングオブヒーローはそんなことは気にしないのだ。笑って、それから一転、真面目な顔になる。
「君も狙われているそうだね、ドラゴンキッド」
「……うん」
「大丈夫、そして大丈夫だ! 私たちが、ついているから」
「!! ……それ、タイガーも言ってた」
「え、」
「ほんと、二人はそっくりだなあ……大丈夫、ボクは自分の身くらい、自分で守れるから」
 そう言って笑う少女の笑顔は、寂しそうで──。
「……大丈夫」
 頭を撫でられて、パオリンは笑って、ほらまた、と。


「なあ、バニー」
「どうしました?」
「あいつら、何だかんだでいい雰囲気だよな」
「……そうですか? 僕的にはあと折紙先輩がいたら完璧なんですが」
「なんの話だよ!!」



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