Take your hand off balloon

 強い風が吹いて、パオリンは持っていた風船から手を離してしまった。
「あっ」イワンが手を伸ばすが──届かない。
「あーあ……飛んでっちゃった」
 折角貰ったのに、と肩を落とす彼女に、イワンは、
「また貰ってこようか?」と訊いてくるが、パオリンは首を横に振る。
「いいんだ。飛んでっちゃったのはボクが手を話したせいだし」
「……こういうとき、スカイハイさんなら簡単に取ってくれるんだけどね」
 あいにく、二人ともそういった能力は持っておらず。
「仕方ないや。悔しいから、なんか食べにいこ」
 笑って、パオリンはイワンの手を引いた。

20110819
(たまには折龍。空龍スキーなのですが、折龍も好きなのです。風って辺りにいろいろ絡めたつもりです)