憧憬の風景、彼と共に

「タイガーさんって、かっこいいですよね」
「はあ? どこがです」
 バーナビーは折紙を見た。折紙は、恍惚とした表情で空を見ている。
「タイガーさんだけじゃない……みんな、かっこよくて、僕より強くて……」
 一緒に空を見上げる。青い果てしない空。まるで、それは。
「……折紙先輩は、強いですよ」
 それくらいしか言えない自分が、悔しかった。
「僕なんか、いつも見切れてるだけ。ポイントも取れない、駄目なヒーロー」
「……そんなこと、ありません。折紙先輩は、僕にとって憧れですよ」
 ヒーローアカデミー出身のヒーロー。バーナビーにとって、折紙サイクロンは一つの目標で。
「……ありがとう、バーナビーさん。僕も頑張るから、貴方も頑張って」
 そう言って、折紙は微笑んだ。

 その「頑張れ」の意味は、未だ分からないままだけれど。
「……折紙先輩、お疲れさまです。今度は、僕たちの番だ。頑張ってきます、絶対に朗報を届けます」
 そっと呟いて、彼は病室を出ていった。
 ぴくりとその指が動いたことには、気づかない。


2011.07.14
(折紙先輩とバニーちゃんの関係性。後半は12話。同じヒーローアカデミー出身だし、バニーちゃんがある程度なら目標にしててもおかしくはないかなあと)